高齢になると、身体機能は誰でも衰えてくるもの。立つ・座るといった基本的な動作も辛くなります。長時間過ごすことになるキッチンでも、フォローする工夫が必要です。高齢者が使いやすいキッチンを目指し、どのようにリフォームすれば快適なのかをご紹介します。
高齢者が使う、リフォーム前のキッチン問題
高齢者が使うキッチン困りごと
キッチンをリフォームしていない高齢者への調査では、キッチンに対する困りごとが次のように出ています。ひとまず、トップ5までを挙げてみます。
1位:設備の機能性
2位:収納
3位:清掃、使い勝手
4位:見栄え
5位:広さ
高齢者が使うキッチンで感じる不便さや危険
高齢者にとってのキッチンは、危険なことばかり。
料理をすることより、ケガの心配をするほうが先になってしまいます。実際に自身のキッチンで高齢者が感じている不便さや危険を見ていきます。
長時間の料理仕事ができない
足腰が弱って立っていられない、移動がスムーズにできない、設備の高さと身長が合わない
コンロの火の消し忘れ
火を使っていることを忘れてしまった、鍋を焦がしてしまった
やけど
鍋やポットのお湯をこぼしてしまった、揚げ油が跳ねてかかった
転倒・ケガ
キッチンマットにつまずいた、床で滑った、鍋や食器を落とした
高齢者が使いやすいキッチンのリフォーム
高齢者が使いやすいキッチンにするには、不安に思うことを補ってくれる設備に取り換える必要があります。設備はいろいろなメーカーから進化したものが多く出ているため、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
「安全に使えるキッチン」にリフォーム
『過熱や消し忘れの自動消火機能付コンロ』に取り替え
うっかりした火の扱いを心配している方におすすめです。
IHクッキングヒーターなら火の扱いはなく、五徳がないために何かを引っかけることもありません。ビルトインガスコンロならセンサーで自動消火する機能がついています。
『滑りにくい床材』に取り替え
滑りや引っかかりが心配な方におすすめです。
コルクタイルなどの自然素材の床材なら、クッション性と耐水性を兼ね備え、足腰に優しくフィットします。
「身体への負担が少ないキッチン」にリフォーム
『低いシンクや座って作業ができるシンク』に取り替え
長時間立って作業ができない、車椅子や椅子で作業がしたいという方におすすめです。
一般的にシンクの高さは、身長÷2+5㎝が目安といわれ、スツールなどを使うなら75~85㎝が適しているといわれます。できれば、ショールームなどで高さを確認するといいでしょう。
シンクの中央に凹部のあるタイプは、車椅子が椅子での作業に適応しています。
『掃除のしやすいコンロ』に取り替え
油や魚介類を扱う回数が多いため、お手入れが大変だという方におすすめです。
汁受けのないフラットな天板、コンパクトな五徳、無水グリル、サイドカバー付、チリ受け付など、最新型は機能が充実しています。
『低めの食器棚や電動昇降吊戸棚、リモコン付換気扇』に取り替え
高さや奥行きが合わない、手が届かないという方におすすめです。
狭いキッチンでも、棚にすれば収納スペースが拡大します。棚類は、低めで奥行きが浅いものや電動昇降のタイプがあります。換気扇もリモコン付なら扱いが楽です。
換気扇は、フィルター交換や油汚れを軽減する機能付の製品が多くあります。
『キッチンの形状に適した照明』に取り替え
手元や足元が見えにくいという方におすすめです。
明る過ぎず、暗過ぎずで、全般照明の他、ベースライト、小型シーリングライト、ダウンライト、ペンダントライトを効果的に組み合わせた調節が必要です。